広報の手段というと、プレスリリース配信サービスや記者への個別アプローチを思い浮かべる方が多いかもしれません。でも実は、「記者クラブ」への投函という、知る人ぞ知るルートがあります。大企業でなくても、記者クラブを活用すれば、メディアの目に留まり、取材や掲載につながることもあります。
今回は、「記者クラブって何?」「どうやって出すの?」「本当に意味あるの?」といった疑問を持つ、スタートアップの広報初心者や経営者の方に向けて、その基本から活用のコツまで、わかりやすくお伝えします。
記事の最後には、関西エリアの記者クラブ情報もご紹介しています。広報の選択肢を広げたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
そもそも「記者クラブ」とは?
「記者クラブ」とは、新聞・テレビ・通信社など複数の報道機関が集まって情報を共有するための組織です。全国の官公庁、自治体、経済団体、大手企業などに設置されており、報道機関の記者が常駐または定期的に出入りしています。
例えば「○○県政記者クラブ」「○○商工会議所記者クラブ」「○○市記者会」などがあり、それぞれのエリアや分野で活動している記者が所属しています。そこに、企業や団体がニュース価値のある情報を持ち込むと、記者たちがその情報を一斉に受け取り、必要があれば取材や記事化につながるのです。
広報初心者の方にとっては、「記者にどうアプローチすればいいのかわからない」という壁があるかもしれません。でも、記者クラブは情報を届けるための“入り口”として、意外にも門戸が開かれている場所です。だからこそ、小さな企業でも利用する価値があります。
実際にどんな情報を投稿できる?
記者クラブに出せる情報は、大きな発表だけではありません。次のようなネタも投稿対象になります:
- 新サービス・新商品の発表
- 自社主催のイベントやセミナー開催
- 社会的な取り組み(SDGs、地域連携など)
- 新しい拠点の開設や事業拡大
- 独自の取り組み(ユニークな働き方や教育制度など)
例えば、「地元の高校と産学連携でアプリ開発に挑戦」といった地域性や教育との連携がある取り組みは、全国ニュースでは目立たなくても、地元紙やローカル局の記者にとっては「身近で新しい話題」として関心を持たれやすい傾向があります。
大切なのは、「誰にとってのニュースなのか」を意識すること。記者クラブを通じて記者の目に留まれば、直接やりとりが始まる可能性も出てきます。
投稿の方法は?難しそうで実はシンプル
「でも、どうやって投稿すればいいの?」というのが、最初にぶつかるハードルかもしれません。でもご安心を。記者クラブへの投稿は、基本的に以下の流れです:
- 対象の記者クラブを調べる
まずは自社の所在地や活動エリアにある記者クラブをリサーチします。「○○市 記者クラブ」で検索すれば、窓口や連絡先が出てくることもあります。 - プレスリリースを準備する
メディア向けに1~2枚で簡潔にまとめた資料を作成します。ニュース性、社会性、地域性などの要素が入っているとより効果的です。 - 提出方法等を確認する
記者クラブごとに、FAX・メール・持ち込み(受付に手渡し)・投函(指定のポストに入れる)など、提出ルールが異なります。また、提出の48時間前までに予約が必要な場合もあるため、事前に電話で確認しておくと安心です。あわせて、必要部数の確認もお忘れなく。 - 指定に合わせて提出
特に地方の記者クラブでは、「紙の原稿を指定の時間に投函する」といったケースもあります。提出方法に合わせて、ルールを守って丁寧に対応しましょう。
提出後、必ず取材が来るわけではありませんが、しっかり届けばチャンスは広がります。記者の関心にハマれば、その日のうちに連絡が来ることもあります。
スタートアップだからこそ、記者クラブが「刺さる」
スタートアップや中小企業にとって、広報活動にはさまざまなハードルがあります。「まだ実績が少ない」「広報の専任担当がいない」「記者との接点がない」など、環境やリソースの面で不利に感じることも多いかもしれません。
でも、だからこそ記者クラブへの投稿は、そうした企業にとって非常に有効な手段になり得ます。特に地方や地域密着型のスタートアップにとって、記者クラブは地元メディアとの接点をつくる有効な入口です。大手のプレスリリース配信サービスでは埋もれてしまいがちな話題も、地域の記者にとっては「面白いネタ」になることがあります。
例えば、ある地元企業が記者クラブに情報を届けたことでローカル紙に取り上げられ、それを見た別の企業や団体から問い合わせがあった──そんな展開も十分に起こりえます。地域に根ざした取り組みは、地元メディアの関心と親和性が高く、記者クラブを通じて情報発信することが次のチャンスにつながることもあります。
メディアで取り上げられたという経験は、社内のモチベーション向上や採用広報にも良い影響をもたらします。「記者クラブへの投函=スタートアップの広報デビュー」と捉えて、まずは一歩踏み出してみてはいかがでしょうか。
投稿するときに気をつけたいこと
実際に投稿するときは、以下のポイントに注意すると取材依頼率がぐっと上がります。
- タイトルに「ニュース性」が伝わる言葉を使う
誰が・何を・なぜ行うのかが一目で伝わるタイトルが理想です。記者の関心を引くために、ニュース性のあるキーワードを盛り込みましょう。 - 社会的な視点を入れる
単なるサービス紹介ではなく、「どんな課題に向き合っているのか」「地域や社会にどう貢献するのか」を入れると説得力が増します。 - 連絡先は必ず明記する
メディア側が興味を持ったとき、すぐに連絡できるよう、担当者名・電話番号・メールアドレスを明記してください。 - 写真素材を添付しておくとベター
イベントや商品、施設の写真があると、記事化された際に使用されることもあります。
▼あわせて読みたい
記者の関心を引き寄せるメディアフックとは?
まとめ
スタートアップや小さな会社にとって、「メディア露出」は敷居が高いもの。でも、記者クラブはそんな企業に開かれた、手が届く存在です。しっかり準備して、ルールを守って活用すれば、記者の目に留まる可能性は十分にあります。
「ウチなんて相手にされないのでは…」と遠慮する必要はありません。記者クラブは、いわば“地元から始める広報”の第一歩。派手ではなくても、確実に記者に届くルートです。まだ活用したことがない方は、ぜひこの機会に一歩踏み出してみてください。あなたの会社のニュースが、明日の紙面やテレビに載るかもしれません!
関西の記者クラブ情報をご希望の方へ
以下のバナーよりフォームにご登録いただいた方へ、関西エリアで企業・団体からの情報提供を受け付けている主な記者クラブの一覧と、投函時に押さえておきたいポイントをまとめた資料を無料で配布しています。 広報の第一歩として、ぜひご活用ください!
※フォームには、会社名・ご担当者名・ご連絡先のご記入が必須です。