ひとり広報でもできる年間広報カレンダーの作り方

ひとり広報でもできる年間広報カレンダーの作り方 広報お役立ちブログ

スタートアップの現場では、広報専任のスタッフがいないケースも多く、「広報をやってみてと言われたけれど、何から始めたらいいかわからない……」と戸惑う方も多いのではないでしょうか。この記事では、広報初心者や未経験の経営者でも取り組みやすい「年間広報カレンダー」の作り方を、具体的なステップとともにご紹介します。ひとりでもムリなく継続できる、シンプルで実践的な方法をお伝えします。

なぜ「年間広報カレンダー」が必要なのか?

広報業務は、日々のSNS更新や取材対応など、短期的な業務に追われがちですが、本来は中長期的な視点が欠かせません。そこで役に立つのが「年間広報カレンダー」です。

年間カレンダーを作ることで、季節ごとの話題や行事に沿った発信ができ、広報活動が「行き当たりばったり」にならず、計画的になります。例えば、4月には「新年度スタートのご挨拶」、9月には「防災月間に合わせた取り組み」、12月には「年末の振り返り」など、あらかじめ想定しておくことで、前もって準備ができ、結果的に手間を減らすことができます。

特にひとり広報の場合、突発対応に追われると発信のクオリティが下がったり、後回しになってしまうことも。その点、カレンダーがあれば「今やるべきこと」が可視化され、優先順位を立てやすくなります。

広報カレンダーに盛り込むべき内容とは?

広報カレンダーに書き込むべき要素は、大きく分けて以下の5つです。

  1. 自社の年間イベント・ニュース
    会社の設立記念日、新サービスのリリース予定、決算・採用情報、展示会出展など、自社発信のネタを一覧にします。例えば「5月:新アプリ公開」「9月:シリーズA資金調達のリリース」などです。
  2. 社会的・季節的イベント
    お正月、バレンタイン、GW、夏休み、敬老の日など、季節の行事や祝日をベースに、社会の関心ごとと絡めた発信ができます。例えば「3月:卒業→人材採用ストーリーの発信」などです。
  3. 業界特有のトピック・記念日
    例えば「IT業界の●●の日」「飲食業界のフードロス削減月間」など、業界メディアが取り上げやすいタイミングを意識して入れておきましょう。広報の切り口が広がります。
  4. メディアの年間構成
    テレビや雑誌などメディアにも「決算特集」「夏のレジャー特集」「年末商戦特集」など、年間を通して企画が存在します。各メディアの締切時期や編集テーマを調べて書き加えておくと、アプローチしやすくなります。
  5. 社内の広報活動予定
    SNS投稿、プレスリリース発行、ブログ更新、ニュースレターなど、自社メディアの更新計画もスケジュールに組み込んでおくと抜け漏れを防げます。

まずは“ざっくり”作ってみよう!

はじめから完璧を目指す必要はありません。以下の3ステップで、まずはシンプルに「ざっくり版」の広報カレンダーを作成してみましょう。

ステップ①:12ヶ月分のカレンダーを用意する

ExcelやGoogleスプレッドシートで、1ヶ月ごとに枠を設けた表を作るだけでOKです。無料のテンプレートもインターネット上に多くあります。

ステップ②:会社のイベントや予定を書き込む

まずはすでに決まっている予定から埋めていきます。例えば、「〇月:展示会出展予定」「〇月:創業10周年記念」などです。

ステップ③:季節ネタ・業界ネタを足していく

余裕があれば、季節行事や業界の動きに絡めたアイデアを書き足してみましょう。例えば「6月:梅雨対策アイテム紹介」「10月:ハロウィン企画」など、ちょっとした発信のきっかけにもなります。

これだけでも「今月どんな話題を発信しよう?」と毎回悩まずに済みますし、継続することで自社の強みや広報の型が見えてきます。

実際に活用するには?運用のコツ

作って終わりではなく、使い続けることがカギになります。運用のポイントは、次の3つです。

1. 月1回の見直しタイムを設ける
月初に10分だけでもカレンダーを見返し、「今月やること」「来月の準備」を整理する時間をつくりましょう。社内の打ち合わせに組み込むのもおすすめです。

2. 担当が一人なら「やらないこと」も決める
リソースが限られている場合、無理に全てやろうとすると疲弊してしまいます。「今月はSNS投稿に集中」「来月はプレスリリースを優先」など、的を絞ることで質の高い広報ができます。

3. 成果や反応を記録する
例えば、どの投稿に反応があったか、メディア掲載につながった企画は何だったかを簡単にメモしておくと、翌年のカレンダーづくりにも役立ちます。自社なりの「当たりネタ」が蓄積されていきます。

具体例:カレンダーの一部を公開

ここで、実際の年間広報カレンダーの一部を例としてご紹介します(BtoBスタートアップの場合)。このカレンダーでは、「自社の動き」だけでなく、「社会の動き」や「メディアの企画タイミング」も意識して盛り込んでいます。

社内予定社会の動き・発信アイデアメディアアプローチ例
1月年始挨拶・方針共有新年の目標・ビジョン共有(新年度企画と連動)経営・人材系メディアへ「スタートアップの今年の展望」特集打診
3月新卒採用開始若卒業・旅立ちの季節に合わせた若手社員インタビュー採用・キャリアメディアにコラム寄稿または事例提案
6月サービスアップデート上半期の振り返り・利用企業の声(決算発表の時期と連動)IT・経済メディアへ導入成果のリリース配信
9月防災月間BCP(事業継続計画)に関する取り組み紹介業業界誌やCSR特集メディアへ「企業の備え」企画提案
12月年末の挨拶・1年のまとめ「今年のTOP3ニュース」や社員アンケート記事自社ブログで公開&ビジネス誌へ年末企画の打診

このように、社会のイベントや世の中の関心ごとと自社のタイミングを掛け合わせることで、より自然で共感を得られる広報発信が可能になります。また、メディア側の年間企画や編集テーマを意識しておくことで、タイムリーなアプローチにもつながります。

まとめ

広報カレンダーは、ひとりで広報を担う方にとっての「スケジュール帳」であり、「相談相手」のような存在でもあります。すべてを完璧に網羅する必要はありません。まずは「ざっくり」作ってみること。そして「ちょっと先の広報」を見据える習慣がつけば、発信の質も成果も自然と高まっていきます。

ぜひ、あなたの会社らしい年間広報カレンダーを一度作ってみてください!

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