「広報を担当しているけれど、発信するネタが見つからない…」
スタートアップの広報担当者や、広報を兼務している経営者の方の多くが、こんな悩みにぶつかります。リリースするほどの大きなニュースもないし、何を発信したらいいのか分からない。
でも実は、広報ネタは会社の“中”にたくさん眠っています。
本記事では、そんな「広報ネタがない!」と感じたときに使える4つの視点を紹介します。どれもすぐに実践できる内容ばかりですので、ぜひ自社の発信活動の参考にしてみてください。
プロダクトやサービスの“裏側”をストーリーにする
広報といえば「サービスリリース」や「資金調達」といった華やかな話題をイメージしがちですが、スタートアップではそうしたニュースが頻繁に起こるわけではありません。むしろ、そうした“特別なイベント”がない時期こそ、広報の腕の見せどころです。そのためには、完成品だけでなく、その裏にある“過程”を語ることが大切になってきます。
例えば、開発中のプロダクトに関して、
- 「なぜこの機能を追加しようと思ったのか?」
- 「ユーザーのどんな声を受けて改善に至ったのか?」
- 「開発中に乗り越えたエンジニアチームの苦労」
といった裏側のストーリーには、共感と信頼を生む力があります。
「何ができたか」よりも、「なぜ、どのようにそれを作ろうとしたのか」という背景を伝えることで、プロダクトの思想や企業姿勢が自然と伝わるのです。
まだローンチ前でも、“開発の舞台裏”は十分な広報ネタになります。特に同じような課題を抱えている業界の方にとっては学びにもなり、読み応えのある内容になります。
顧客の成功事例や関係性を伝える
次に注目したいのが、お客様や連携パートナーとの成功事例です。さらに言えば、「どんな背景で一緒に取り組んでいるのか」「どんな価値を共に創り出そうとしているのか」といった“関係性”を語ることがポイントです。
例えば、
- 初期導入企業との共同実証のエピソード
- 顧客の要望がサービスの改善につながった事例
- 地元企業や自治体とのコラボレーションの背景
などは、単なる紹介を超えて、「信頼関係を築いている企業」という印象を与えることができます。
広報として記事化する場合は、相手先に必ず了承を得て、相手にとっても意味のある内容になっているかを意識することが大切です。結果的に、双方の認知度向上にもつながる機会になることもあります。
業界ニュースやトレンドに対する“自社なりの視点”を発信
広報のネタは、社内にあるものだけではありません。世の中で話題になっているニュースやトレンドに対して、「自社ならではの考え」を発信することで、存在感を高めることができます。
例えば、
- 「生成AIが普及している中で、私たちのプロダクトはこう進化しています」
- 「最近の人材不足に対して、私たちはこうアプローチしています」
といった具合に、自社の業界内で起きている動きに対してコメントや解説を加えるだけで、十分な広報コンテンツになります。
特に経営者やリーダーが自ら発信することで、業界内のオピニオンリーダー的な立場が築かれることもあります。ビジネス層が集まるSNSプラットフォームでの発信がおすすめです。
社員の想いやキャリアを掘り下げて紹介する
スタートアップの魅力の一つは、何と言っても「人」。メンバーがどんな想いで働いているのか、どんなキャリアを経て今の役割を担っているのか。そういったストーリーは、外部の人にとって大変魅力的です。
単なる「社員紹介」ではなく、
- なぜこの会社を選んだのか?
- 入社後どんな挑戦をしているのか?
- どんな価値観を持って働いているのか?
といった深掘りをすることで、その人自身のキャラクターや、会社のカルチャーが見えてきます。
このような記事は、将来の採用候補者や業界関係者にとっても貴重な情報源となり、「この会社、雰囲気がいいな」「一緒に働いてみたいな」という共感が生まれる可能性も高まります。
まとめ
広報活動において「ネタがない」というのは、実は“情報がない”のではなく、“価値ある情報に気づけていない”ということが多いです。
大きな発表がなくても、社内の小さな出来事、仲間との関係、お客様とのつながり、世の中の変化に対する自社の視点…。すべてが、広報ネタになります。
大切なのは、「これは発信するほどじゃない」と思い込まずに、一つひとつの出来事に意味を見出し、言葉にしていくことです。
最初はうまく言語化できなくても構いません。社内の何気ない日常にも、誰かの心を動かす“ストーリー”が隠れているかもしれません。
ネタ切れに悩む広報初心者の方にとって、今回の4つの視点が、新しいアイデアのヒントになれば嬉しいです!