「いいサービスをつくっているのに、なかなか世の中に知られない」
「営業を強化しているのに、新規顧客の信頼が思うように得られない」
こうした悩みを抱えるスタートアップや中小企業は少なくありません。
事業を伸ばすためには広告や営業が必要ですが、それだけでは「信頼の壁」を突破できない場面が出てきます。その壁を超えるカギとなるのが、戦略的な「広報」です。
広報は単なるプレスリリース配信やメディア対応にとどまりません。企業の存在意義や成長の方向性を社会に伝え、信頼を積み上げる活動であり、資金調達・採用・営業拡大といった経営課題を後押しする「成長戦略そのもの」なのです。
本記事では、スタートアップや中小企業がなぜ広報を取り入れるべきなのか、具体的な活用法と成功のヒントを解説します。
1.なぜ広報が「成長戦略」につながるのか?
広報の本質は「信頼を獲得する活動」です。
資金調達、採用、事業拡大──いずれも企業成長の重要要素ですが、それらを進めるには「信用できる会社だ」と思われることが前提です。
資金調達
投資家は将来性だけでなく、社会的な信頼性を重視します。メディアに取り上げられることは「社会から評価されている」という強力な証明です。
一方、資金調達自体も「投資のプロであるベンチャーキャピタルから選ばれた」という事実であり、メディアにとって『取材・記事化するに足る信頼性がある』ことを示す材料になります。編集部や記者は「怪しい情報ではないか」を常に精査しています。調達の実績は「社会的に注目する価値がある企業だ」とのシグナルとなり、報道につながりやすいのです。
つまり、メディア露出と資金調達は互いを補完し合い、信頼を増幅する関係にあります。調達リリースを出すか出さないかで、その後の露出量や社会的信用度は大きく変わります。
採用
人材は会社の未来を左右します。特に優秀な人材ほど「どの会社で働くか」を真剣に見極めます。ここで効くのが広報です。
「ニュースで見た」「あの雑誌に取り上げられていた」といった第三者からの評価は、候補者に安心感を与え、「ここで働きたい」と思わせます。逆に情報がなければ「この会社は大丈夫かな?」と不安を与えてしまいます。
事業拡大
営業現場でも広報は威力を発揮します。商談の場で記事や取材実績を提示するだけで「信頼感」が加わり、受注率が上がるケースは少なくありません。BtoBの場合、特に「取引しても安心か」という要素が重視されるため、広報は営業活動を後押しする武器になります。
2.広報がもつ独自価値とは?広告・営業・販促との違いと相乗効果
企業の成長には「広告」「販促」「営業」「広報」の4つのプロモーション手段があります。それぞれに特徴があり、相互に補完し合うことで効果を最大化します。
- 広告:スピーディーに認知を拡大。費用は高いが、購買に直結する即効性が高い。
- 販促:購入や利用を後押し。活動工数・費用はかかるが、短期・中期に仕掛けることで効果を生む。
- 営業:顧客に直接アプローチし、関係性を築く。人手に依存するがリードに対する効果は大きい。
- 広報:メディアを通じて社会的信頼を得る。短期的な効果に直結しづらい一方で、中長期的に信用とブランドを醸成。
例えば、新製品を出す際に「広告で広く知ってもらい」「販促で試してもらい」「営業が顧客に提案し」「広報で社会的信頼を積み重ねる」という組み合わせが効果的です。
広報は単独ではなく、他の施策を底上げする存在なのです。
3.フェーズ別に見る広報の役割
企業の成長ステージごとに、広報の果たす役割は変化します。
- シード〜アーリー:まずは自社の情報整理が最優先。その上で、創業ストーリーやビジョンを積極的に発信する。
- シリーズB〜C:事業モデルや成長性を社会に認めてもらう段階。資金調達リリースや実績紹介を通じて信用を拡大。
- 成熟期:ブランド力を確立し、採用や新規事業を後押しする広報へ。社会課題解決への取り組みを発信する企業も多い。
広報は「やらなくてもいいもの」ではなく、フェーズごとに形を変えて必要になる活動です。
4.資金調達リリースの重要性と成功のコツ
資金調達のプレスリリースは、スタートアップにとって最も効果的な広報手段の一つです。
ポイント
- 調達額や出資元を明確に書く → 読者やメディアにインパクトを与える
- 資金の使途を具体的に説明する → 成長戦略の透明性を示す
- 投資家コメントを掲載する → 信頼性を高める
たとえば「シリーズBで10億円調達し、AIエンジン開発と海外展開に充てる」と明確に書けば、記者も記事にしやすくなります。
逆に「非公開」としか書かれていないリリースはニュース価値が下がり、掲載のチャンスを逃すことがあります。
なお、資金調達のプレスリリースを発信する場合は、引受先など関係者からの許可を得てから発信しましょう。
5.成功する企業の広報パターン
成長企業の広報には共通点があります。
- 経営者自身が発信の重要性を理解し、広報を戦略に組み込んでいる
- プレスリリースを単発で終わらせず、継続的に情報発信している
- 自社発信とメディア露出を組み合わせて「ストーリー」をつくっている
広報は一度で終わりではなく、積み重ねによって効いてくる活動です。
6.広報を始める際の注意点
- 宣伝臭が強すぎる情報は記事にならない
- 事実の裏付けがないと逆効果になる
- 短期で効果を求めすぎない
広報は「信頼の貯金」です。一夜にして積み上がるものではありません。
7.今こそ広報に取り組むべき理由
特にスタートアップや中小企業にとって、広報は「成長のレバレッジ」になり得ます。
- 調達や事業拡大をメディア露出で加速
- 優秀な人材採用を後押し
- 地域企業ならではの強みを社会に広く伝えられる
大企業だけのものではなく、むしろ「知名度のない挑戦者こそ武器にできる」のが広報です。
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