ひとり広報のビギナーがまず取り組むべきことは?
新米ひとり広報が陥りがちなのは、急に上司や役員から数字や指標を整理するよう指示され、慌てて対応することです。何を計測すべきかを整理し、毎月のデータをきちんと計測することが広報業務の第一歩です。
定量データを収集・分析することで、現在の方針や戦略が正しいかどうかを検証し、必要に応じて改善策を打ち出すことができます。
特に期末や期初のタイミングでは、上司や役員と話し合い、計測項目を見直すことが重要です。
これにより合意形成が進み、広報活動全体の方向性を固めることができます。
計測項目
計測するデータは大きく3つに分類できます。インプット、アウトプット、そしてアウトカムです。それぞれの項目を整理して記録することで、広報活動の全体像がより明確になります。
インプット:プレスリリースの配信数や企画書のプロモート数など、広報PR活動(メディアへのインプット)
アウトプット:メディア掲載件数など、インプットに対する成果(メディアへの影響)
アウトカム:記事を見た顧客が商品を購入したなど、広報活動が実際に売上やブランド価値に貢献した、アウトプットに対する結果(ステークホルダーへの影響)
広報PRのROIはどう考える?
広報において、マーケティングや広告のようにROI(投資対効果)を正確に測るのは難しいことが多いです。
大手企業では認知度調査などを通じて広報の効果を計測することがありますが、中小企業ではそのようなリソースが限られています。
そのため、アウトカムの設定が難しい場合は、売上や自社サイトのPVと照らし合わせる方法も有効です。
例えば、「この月はなぜか売上が伸びている」「タイミング的にテレビ番組で取り上げられたかもしれない」といった分析ができ、広報活動の結果として推測することができます。
KPI設定のポイントと注意点
広報PR活動をKPIに設定する理由
広報PR活動では、インプット(活動量や施策数)をKPIとして設定することが大事です。広報の成果(メディア掲載件数や露出量など)は広報担当者のパフォーマンスとは関係のない外部要因に左右されやすいためです。広報は広告のように掲載枠を購入することもできず、例えば、メディア掲載数をKPIにした場合、メディアの編集方針や市場の動向、予測できないニュースの発生など、自社ではコントロールできない要因で目標未達になるリスクがあります。
経営層には、この特性を理解してもらい、コントロール可能な活動量を重視することが効果的な広報戦略の一環であると説明するのがよいでしょう。
活動がマーケティング寄りにならないように注意
リード獲得などを広報のKPIに設定すると、活動や施策、コンテンツがマーケティングと重なりやすく、広報本来の役割から離れてしまうリスクがあります。広報とマーケティングは連携・連動しながら、それぞれの役割・目的を果たすことが大切です。マーケティングはターゲットへの直接的な活動であるのに対し、広報はメディアを介してステークホルダーや広く世間に伝える間接的な活動です。また、広報施策に販促や広告的な要素が目立つと、ニュース性が低下し、メディアからの興味関心を得られなくなり、掲載が難しくなることが考えられます。よって、広報のKPIは、広報活動の範囲内で設定することをおすすめします。
効果測定の進め方
「何から始めれば良いかわからない」という方は、次のフォーマットを参考に、自社用の効果測定シートを作成してみてください。
インプット、アウトプット、アウトカムに整理することで、広報活動の進捗を見える化し、社内広報や採用広報にも活用できます。
効果測定シートの例
最後に、この内容は筆者の個人的見解と一般的な概念に基づいています。
実際の広報活動に合わせて柔軟にアレンジしてください!